昨年10月27日投開票の衆院選を巡り、選挙区内で公示直前に現金25万円を配ったとして、公選法違反(寄付行為)の罪で在宅起訴された元衆院議員の亀岡偉民被告(70)の初公判は3日、福島地裁(島田環裁判長)で開かれた。亀岡被告は「寄付したのは福島メセナ協議会であり、私ではない。寄付は例年通りであり、衆院選には全く関係がない」と述べ、無罪を主張した。
検察側は冒頭陳述や証拠調べで、亀岡被告が選挙区内の福島市や、区割り変更後に選挙区に組み入れられた二本松市で、祭礼に参加した団体に「衆議院議員亀岡偉民」やスポーツ大会などを主催する亀岡被告の関係団体「福島メセナ協議会」と記載された現金入りのし袋を手渡すなどし、受け取った団体が寄付金として会計処理していたとした。
弁護側は、現金を渡したのはあくまで「福島メセナ協議会」だとし「寄付は例年の慣行であり、偶然衆院選の時期に重なったに過ぎない」と主張した。
起訴状によると、亀岡被告は公示前の昨年10月3日ごろ~13日ごろの間、福島市と二本松市で開かれた六つの祭礼に参加した27団体に対し、会費名目で現金計25万円を自ら手渡すなどし、衆院選に関する寄付をしたとしている。
公選法は、政治家が選挙区内の有権者に金銭や物品を提供することを寄付行為として禁じている。有罪が確定すれば原則5年間、公民権が停止される。
亀岡被告は栃木県下野市出身。早稲田大教育学部卒。2005年の衆院選で初当選、通算5期務めた。自民党旧安倍派に所属し文部科学副大臣や復興副大臣などを歴任。昨年10月の衆院選では福島1区から立候補したが落選。同12月に党県連会長を辞任、離党した。
次回は11月5日午前11時から、弁護側の冒頭陳述などが行われる。