JR東海は29日、リニア中央新幹線の東京・品川―名古屋間の工事費について、従来計画で見込んでいた約7兆円から約4兆円増え、11兆円になるとの見通しを発表した。物価高騰や難工事への対応が要因としている。便宜的に2035年に開業するとの前提で試算したと説明。ただ丹羽俊介社長は名古屋市での記者会見で、開業時期は「まだ申し上げることはできない」と述べ、実際には見通しが立っていないと改めて表明した。
増額する4兆円の主な内訳は、建設資材や材料価格、労務費の上昇といった物価高関連で2兆3千億円、山岳トンネル工事で安全に施工するための追加対策費など難工事への対応で1兆2千億円などとなっている。
JR東海は営業活動で得る資金に加え、2兆4千億円の資金調達が必要だとみており、社債や借り入れでの対応を検討している。丹羽社長は「重く受け止めている」との認識を示し「業務改革や収益の拡大により、経営体力の強化に取り組む」と語った。
JR東海は、物価の動向次第では、鉄道の運賃などへの価格転嫁が必要になるとの見方も示した。
