スタジオジブリのプロデューサー鈴木敏夫さんを迎えたスペシャルトークイベント「ジブリとの40年」が25日、福島市のアオウゼで開かれた。鈴木さんが映画の制作秘話や、宮崎駿監督らとの思い出話を語った。
鈴木さんは、福島市で幼少期を過ごした「ぐりとぐら」シリーズで知られる絵本作家の中川李枝子(りえこ)さんに「となりのトトロ」のオープニング曲「さんぽ」の作詞を依頼した経緯に言及した。映画の制作中、歌を誰に依頼するか考えた際、鈴木さんと宮崎監督が同時に中川さんの名前を挙げたという。鈴木さんは「2人とも中川さんの絵本の大ファンだった。(中川さんに)簡単には引き受けてもらえなかったが『やってくれるまで帰りません』と頼み込んだ」と振り返った。
最新作「君たちはどう生きるか」についての裏話も披露した。同作のモチーフになった作品として、アイルランドの作家ジョン・コナリーの小説「失われたものたちの本」が評論などで挙げられているが、鈴木さんは別の本が元になっていると指摘。「宮崎本人に聞いてもはぐらかされたが、エドガー・アラン・ポーの詩『大鴉(おおがらす)』が原作だと思う」と明かした。
アオウゼの創設15周年を記念して開催。約2200人の応募から抽選で選ばれた200人が来場し、鈴木さんの話に聞き入った。聞き手はアオウゼ事業推進アドバイザーで、映画誌「キネマ旬報」元編集長の青木眞弥さんが務めた。トークイベントの内容は、鈴木さんが司会を務めるラジオ番組「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」で放送される予定。
同館では11月1日まで、「スタジオジブリ映画ポスター大集合」展と「中川李枝子さんと福島市」展が開かれている。
