高市内閣で入閣した赤沢亮正経済産業相と石原宏高環境相、牧野京夫復興相は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から14年7カ月が過ぎても課題が山積する福島県の復興に向けて重責を担う。3閣僚は21日、福島民友新聞社などの取材に就任の抱負を語った。
赤沢亮正経産相「第1原発廃炉は最重要課題」
赤沢経産相は、震災と原発事故の影響が続く本県の現状に思いを寄せ「(福島第1原発の廃炉は)しっかりと取り組まなければならない最重要課題の一つだ」と意欲を語った。
赤沢氏は、昨年10月に発足した石破内閣で初入閣。経済再生担当相として積極的に訪米を重ね、懸案の日米関税交渉に区切りを付けた。今後は廃炉を担当する立場になるが、本県訪問に向けて「できるだけ早く現地に足を運び、関係者の話を聞かせていただきたい。誠心誠意(復興に)努める」と現場主義を徹底する考えを示した。
また、中小企業対策にも注力する意向を示し「中小企業を全力で応援する。生産性を上げて稼いでもらうことで、賃上げにつなげたい」と述べた。その実現に向け「企業として成長を最大限追求できるような環境を整備するという強い思いを持っている」と強調した。
石原宏高環境相「除染土再生利用進める」
石原環境相は「東京電力福島第1原発事故に伴い、福島県内の除染で出た土の利用を進めたい」と、停滞する再生利用の進展に意欲を示した。
石原氏はこれまで、環境副大臣や首相補佐官を務めたほか、衆院原子力問題特別委員会筆頭理事、衆院環境委員会筆頭理事などを歴任。環境副大臣時代には除染で出た土壌などを保管する中間貯蔵施設の整備や、災害廃棄物の処理などを推進してきた。原発再稼働を巡っては「原子力防災も非常に重要だ」と強調。動画投稿サイト「ユーチューブ」に開設した自身のチャンネルでは、処理水の安全性などについても発信している。
父は元東京都知事で作家の故慎太郎氏、兄は元自民党幹事長の伸晃氏。父は環境庁長官、兄は環境相を務めており、自らも「環境副大臣の経験を生かし、仕事に取り組んでいく」と誓った。
牧野京夫復興相「被災地の声、政策に反映」
牧野復興相は復興に向け「(福島が)第二の古里となるよう職務を全力で全うしたい」と語った。
2019年4月に国土交通副大臣との兼務で復興副大臣に就き、インフラ関連を中心に復興に携わった。直近では参院各委員会の円滑な審議に向け与野党間の調整などを主導する議院運営委員長を務めた。ある野党議員は「人柄も良く野党にも幅広い人脈がある。重要な復興政策を進める上で野党との協力関係の構築も期待できる」と評価する。
牧野氏は本県の現状に「地元の皆さんは復興は道半ばとの思いを抱いている」とおもんぱかり、被災地の声を今後の復興政策に十分に反映させる考えを強調した。防災庁設置準備担当相も兼務することになり「東日本大震災をはじめ毎年のように発生する自然災害の教訓を今後にどう役立てられるか。研究を重ねたい」と力を込めた。