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除染土、最終処分の検討加速化 有識者初会合、環境相「さらに踏み込む」

2025/09/23 08:45

 東京電力福島第1原発事故の除染で出た土壌の県外最終処分を巡り、環境省は22日、有識者会議の初会合を開き、県外最終処分の実現に向けた具体的な検討に入った。県外最終処分の方法や候補地選定のプロセスなど、さらなる具体化に向けた技術的検討を進める。

 浅尾慶一郎環境相は冒頭「県外最終処分実現に向け、さまざまな取り組みをしてきたが、さらに踏み込んだ技術的検討が必要」と述べ、検討を加速させる考えを示した。

 政府は当面5年間の取り組み方針を示した県外最終処分実現に向けた工程表で、2030年ごろをめどに候補地選定に向けた調査に着手する方針を決定。有識者会議では、そのために必要な最終処分の管理終了の時期や運搬などに必要な施設、土壌の減容化方法、最終処分場の立地など技術的検討を進め、候補地選定のプロセスの具体化につなげる。

 環境省は昨年度、県外最終処分に向けた技術的な検討を踏まえた運用指針(ガイドライン)を策定。5月には政府が首相官邸での再生利用などを盛り込んだ基本方針を決定したが、処分候補地選定のプロセスなどはいまだ具体化されていない。また最終処分の量に直接関係する土壌の減容化方法で四つのシナリオを示したものの、どの方法を採用するかは具体的に決まっていない。

 委員からは「(最終処分に)必要なコストや処分地の面積、保管期間などについて国民の考えを聞くプロセスも必要」「(土壌の減容化に必要な)期間についても示してほしい」などの意見が出た。

 政府や環境省は、有識者会議での検討と並行して土壌の再生利用先の創出や全国的な理解醸成の取り組みを進め、法律に明記された45年3月までの県外最終処分実現を目指す。

 呼称「復興再生土」に

 環境省は22日の有識者会議で、県外最終処分の実現に向けて全国で再生利用する土壌の呼称を「復興再生土」とする方針を示した。

 政府は、中間貯蔵施設に一時保管されている土壌のうち放射性物質濃度が比較的低い土壌を公共工事などで再利用し、最終処分量を減らす方針。

 同省では再生利用を「復興再生利用」と呼んでおり、使用する土壌の名称もそれに合わせた形だ。有識者会議では呼称に異論は出なかった。

 呼称については、東日本大震災からの復興に向けた与党の第14次提言の中でも検討を求めていた。

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