日大工学部発のベンチャー企業「e6s(えしっくす)」(横浜市)と同学部などは、断水や停電時でも繰り返し使用できる車載式の水洗トイレを開発した。災害時に被災地へ駆け付け、被災者らが活用することが期待される。災害時のトイレに関する衛生面の課題解決につなげようと、両者と神奈川トヨタ自動車が共同開発し、福島県と福島イノベーション・コースト構想推進機構が支援した。
車両に便器2基を備え、独自の循環型システムを活用して流した汚物を濾過(ろか)し、固形物と水に分けて処理する。水は三層の活性炭を通して、においや色を取り除き、塩素消毒を経てトイレに再利用する。固形物は簡単に回収が可能で、汚物の量はくみ取り式に比べ12分の1以下に減らすことができるという。電源は車両の屋根に載せた太陽光パネルから賄う。
同様のシステムは昨年12月、郡山市のビッグパレットふくしまのトイレに全国で初めて導入された。
11日、日大工学部で報道陣向けの完成披露会が開かれ、システムの開発に当たった中野和典教授が仕組みを説明した。e6sの高波正充社長は「災害時にどこでも駆け付け(被災者らが)快適にトイレを使うことができる。世の中に広げていきたい」と述べた。