福島市の御倉邸で開催中の「出張・昭和サブカルチャー展in福島」。
会場に入ると、壁一面に張られた懐かしい映画のポスターが来場者を出迎える。昭和の子ども部屋を再現した一室には、ガラステーブルの上に置かれたファミリーコンピュータ(ファミコン)をはじめ、野球盤やダブルラジカセなど、会場内は「あの頃」の懐かしい物たちで埋め尽くされている。
会場の御倉邸は、1927(昭和2)年に建てられた旧日本銀行福島支店長役宅で、現在は公園として一般に開放されている。昭和サブカルの展示品が純和風建築と調和し、会場に足を踏み入れた途端タイムスリップできる。
開催に当たり、実行委員の福寿純一さん(55)と山内智仁さん(48)は、展示内容を「昭和サブカルチャー」にこだわり、昭和40年代中盤以降の約20年間に流行したアイテムに厳選した。「40代後半から60代前半の方に、特に”刺さる”内容だと思います。その下の世代にとっては新しさを感じる物ばかりだと思うので、2世代で楽しさを共有してほしいです」と、自身も「刺さる」世代の福寿さん。
会場内の一角に、昭和の女子学生の部屋を再現したスペースがある。ドーナツ盤のレコードから当時のヒット曲が流れ、ファンシーグッズが飾られ、カラーボックスには少女漫画がぎっしり。「女性の方がここで長居しているのを見ると、このレイアウトで良かったと思う」と、この部屋の展示を担当した山内さんは一安心した様子を見せる。
展示のターゲットである昭和の最後の約20年間は、高度成長期(昭和48年ごろまで)やバブル景気に沸いた時期(昭和60年代)だ。そんな時代に誕生した昭和サブカルの商品は、時代の勢いを反映していて、福寿さんはそこが魅力だという。「あの頃の勢いや空気を、当時の商品や音楽から感じたり、思い出したりしてほしい」
今回は約3週間の展示だが、福寿さんはこれで終わりにしたくないという。「これをきっかけに、将来的には昭和サブカルチャーの常設の展示施設が福島市にできて、市内の観光スポットの一つになれば、地域にも貢献できると思っています」と、昭和サブカルをテーマにした街づくり、町おこしを考えている。
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「出張・昭和サブカルチャー展in福島」 御倉邸(福島市御倉町1の78)で9月11日まで。午前10時半~午後5時半。火曜休館。入場料500円、小学生以下は無料。土、日曜はマルシェやミニコンサートも開催。