動画サイト視聴者は新聞読者よりも陰謀論的思考の傾向が強い―。シンクタンク「スマートニュースメディア研究所」が18~79歳の男女を対象に実施した調査で、こんな分析結果を公表した。傾向が強いほど生活への不満を感じているといい、専門家は「既存メディアへの不信感や社会的孤立と結びついている可能性がある」と指摘する。
調査では陰謀論を「世の中の問題の原因が、不確かな根拠を基に誰かの陰謀のせいだと決めつける考え方」と定義。「政府が市民を厳重に監視している」と思うかどうかなどの質問で傾向の強さを測った上で、メディアとの接触などについて尋ねた。動画以外の交流サイト(SNS)や年齢、性別による差はみられず、傾向が強い人ほど生活に不満があると回答した割合が高かった。
結果を分析した東京科学大の笹原和俊教授は「動画サイトでは視聴履歴を基に感情的、扇情的なコンテンツが優先的に表示されやすく、陰謀論的認識を強化する構造になっている可能性がある。メディアリテラシー教育が重要だ」としている。