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貨物輸送の福島臨海鉄道、旅客化を検討 いわきFC新スタジアムを巡り

2025/11/11 07:30

 福島県いわき市で進むサッカーJ2いわきFCの新スタジアム計画を受け、同市のJR常磐線泉駅と小名浜港周辺をつなぎ貨物輸送を行う福島臨海鉄道は、同区間での旅客営業の再開に向けて検討に入った。小名浜地区では恒常的な駐車場不足が課題となる中、新スタジアム建設による深刻化が懸念されており、実現すれば周辺へのアクセスの改善や観光業の活性化などが期待される。

 いわき市で10日に開かれた、有識者や行政、関係団体による防災・交通対策協議会の第2回会議終了後、同社の鈴木章夫取締役総務部長が明らかにした。鈴木氏は「いわき市を活性化させる未来を考え、可能な範囲で(地域に)協力していきたい。(旅客再開について)前向きに考えていかなければならない」と述べた。既に市と話し合いの機会を持っており、実現に向け「課題を一つ一つ解消していきたい」と語った。

 同社によると、深刻な駐車場不足が見込まれる試合開催日の運行を想定しており、試合開催日以外の運行も選択肢の一つとして検討している。旅客営業のためにはプラットホームをはじめとした新たな設備の整備が必要で、今後は整備にかかる費用や事業の採算性を検討した上で、事業化へ踏み切りたい考えという。

 駐車場不足を巡っては、新スタジアム候補地が約3700台が収容可能なアクアマリンパーク駐車場の一部で、建設により868台分減少するなど課題がある。第2回会議で示された市の試算によると、新スタジアム建設後、需要のピークとなる4~5月の大型連休期間中に試合開催日が重なった場合、アクアマリンパークだけで最大3200台分不足すると見込まれている。

 福島臨海鉄道は1907年に小名浜馬車軌道として開業、塩や魚の輸送と共に旅客輸送を始めた。軌道を地方鉄道に変更した39年に小名浜臨海鉄道、67年に現社名へと改称。72年、利用者の減少を背景に旅客営業を廃止した。

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