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クマ捕獲708頭、福島県内最多ペース 注意点5項目…県警、最大級の警戒呼びかけ

2025/11/06 07:05

 福島県内でクマによる人身被害が過去最高を更新する中、本年度上半期(4~9月)の県内でのクマの捕獲数(暫定値)が708頭に上り、年間896頭で過去最多だった2023年度同期の533頭を大幅に上回るペースで推移していることが5日、県のまとめで分かった。同時期の目撃件数は848件で既に過去最多を更新。人里に現れるクマの急増を改めて裏付けた形で、被害防止に向けて県警は5日、キノコ採り目的の入山自粛など5項目の注意点を発表、県民に最大級の警戒を求めた。

 キノコ目的の入山自粛

 県警が発表した注意点は【表】の通り。地域企画課が今年のクマによる被害の傾向などを分析した上でまとめており「例年であれば、クマの目撃などが減少する時期だが、今年は異常な状態が続いている。市街地でも注意が必要だ」と警鐘を鳴らす。

 具体的には、登山やキャンプなどの野外活動もクマに遭遇する危険が高いことから、出没状況によって中止するよう求める。また、川の近くや山林に囲まれた道路で被害に遭う場合があるため、見通しの利く場所や道路を選んで散歩するよう呼びかけるとともに、山林の近くで作業せざるを得ない場合は爆竹などでクマを追い払ってから行うよう促している。

 同課によると、クマによる今年の人身被害は19件22人(4日現在)で過去最多を更新。目撃件数は10月以降も増え続け、同日現在で1505件に達している。人身被害のうち、山中で発生したのは4件だけで、15件は住宅近くなど人の生活圏での被害だった。

 目撃件数は例年8月以降、次第に減少するが、今年は高止まりの状態が続いている。10月以降は人の生活圏での目撃が急増。今月に入ってからは住宅の庭先での目撃が目立ち、カキなどを食べている姿の目撃が増えているという。同課は「やむを得ない徒歩での外出や山林近くでの作業の場合、クマ鈴、ラジオを活用し、時折声を出して、クマに自分の存在を知らせてほしい」としている。

 一方、県はクマによる人身被害や目撃情報が過去最多を更新し続けている現状を「非常事態」とし、市町村に専門家を派遣して対策を検討するなど対応を強化している。また内堀雅雄知事は6日、青森県で開かれる北海道東北地方知事会議で、同じくクマによる被害が急増している各道県の知事らとクマ対策に関する政府への要望などについて意見を交換する考えだ。

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