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利用者「今回は駄目」 いわき信組不正、役職員ら謝罪や説明

2025/11/05 07:30

反社会的勢力への資金提供が発覚後、初の営業日を迎えたいわき信用組合本店営業部。利用者から失望や怒りの声が相次いだ=4日午前、いわき市

 いわき信用組合(いわき市)が不正融資で捻出した資金を反社会的勢力に提供していた問題が明らかとなってから初めての営業日の4日、本店営業部や各営業店を訪れた利用者からは怒りや失望の声が聞かれた。役職員は利用者に文書を配り、謝罪と説明に追われた。

 「(迂回(うかい)融資などが発覚した)前回は我慢したが、今回は駄目。ここで生まれ育った人をばかにしている」。本店営業部で預金を下ろした同市の70代主婦はあきれた表情を浮かべた。

 将来は口座の解約も見据えており「物価も上がり、良い時代ではない中でお金を預けている。役員たちが不真面目に生きていたのは許せない」と憤った。

 かつて信組に勤めていたという同市の40代男性は本店営業部を利用後、「2000年代初めには反社会的勢力と関わりがあるとされる企業に融資していることを知っていた」と語った。

 男性によると、営業店に勤務していた00年代初め、反社会的勢力と関わりがあるとされる市内の企業と取引していることを知り、次席級の上司に質問したところ、この企業との取引を認めたという。「『やばいのではないか』と感じたが、指摘してもトップダウンで潰されてしまうと思った」と当時を振り返った。

 「商売としておかしい」と落胆した声で話すのは、営業店を訪れた同市の60代会社員男性。一連の問題発覚後、男性は預金を別の金融機関に移した。東日本大震災後の12年、信組に200億円の公的資金が注入された経緯を挙げ「公的なお金も受けているのに、ふざけている」と切り捨てた。

 信組は4日、福島民友新聞社の取材に「財務の健全性に問題はなく、今回明らかになった事実にしっかり対応し、地域の金融機関としての役割を果たしていく」とコメントした。

 地域経済への影響 知事「把握努める」

 いわき信用組合の問題を巡り、内堀雅雄知事は4日の定例記者会見で、県としても地域経済に与える影響の把握に努める考えを示した。信組に対し、法令順守体制の確立と再発防止策の徹底を求め「何よりも重要なのは当事者の信組自身が地域経済に影響を及ぼすことがないよう、しっかり対応することだ」と述べた。

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