アクアマリンふくしま(いわき市)と東京大大学院理数学系研究科付属臨海実験所の研究グループは、深海生物のコトクラゲが持つ運動器官「櫛板(しつばん)」が消失するまでの過程を明らかにした。同館が4日、発表した。
コトクラゲはクシクラゲの仲間で、岩などに付着して生活する有櫛(ゆうしつ)動物。櫛板は繊毛の束で、遊泳する際に利用する。幼生期には見られるが、生体時には完全に失われていて、どの時期に櫛板が退縮するかなどの過程や仕組みが未解明だった。
今回、ふ化後の幼生を観察するなどした結果、ふ化から約40日後に櫛板が成長を止め、約60日後に消失、約80日後に着底するという発達過程が判明した。研究成果をまとめた論文は3日、学術誌「ズーロジカル・サイエンス」に掲載された。
研究した同館の山内信弥学芸員(51)は「これからも展示を通してコトクラゲの魅力を紹介していきたい」と語った。同館ではコトクラゲを1階の「海・生命の進化」で展示している。