福島市の陶芸家藤田伸朔(しんさく)さん(85)の作品展が17日まで、同市のうつわの岡崎で開かれている。25回目の開催で今回が最終回。人形香炉や花瓶、皿など約60点を展示、販売しており、藤田さんは「焼き物は使ってこそ輝く。日常生活で楽しんでほしい」と呼びかけている。
藤田さんは元小学校教員。県内各地に赴任し、福島一小校長を最後に定年退職した。教員として勤務する傍ら、独学で電動ろくろの技術を習得。「セカンドライフは好きなことをしながら充実した毎日を送れれば」。そう思い在職中の1994年、会津美里町の陶芸家故弓田道雄氏に教えを請い、技法を学んだ。
2000年には福島市にに「陶伸窯(とうしんかま)」を構え、仲間と共に作品制作に明け暮れた。「皆と楽しくやれたことが、ここまで続けられた原動力」と藤田さん。最盛期には30人ほどの仲間がいて、独立して自分の窯を持つほどに成長した人もいた。「本当にうれしい」と目を細める。
「元気なうちに一区切りつけよう」と今年6月、窯を閉じた。充実した陶芸生活を送り、本懐を遂げた。「周りに助けられた。感謝しかない」と話す。
「陶芸には作り出す楽しさがある」と藤田さん。「人のまねをするのではなく、自分の思いを大切に。個性のある作品がいい作品だと思っている」と後進に思いを託す。
時間は午前10時~午後7時(最終日は同3時)。月曜日定休。問い合わせは同店(電話024・522・0463)へ。