会津若松市の福島県立博物館で19日、夏の企画展「私たちの戦争体験―アジア・太平洋戦争終戦80年」が始まる。9月15日まで。福島県出身の軍人が家族に送った手紙や写真、実際に身に着けていた軍服など、初公開の資料も含めて約150点を展示する。18日は内覧会が開かれた。
戦後80年となり、体験者が少なくなる中、記憶の伝承を目的に企画した。初公開された資料の一つは、連合艦隊司令長官として真珠湾攻撃を指揮した山本五十六が戦時中、会津若松市出身の妻禮子の実家に宛てた書簡2点。親族の体調を気遣ったり、墓参りのお礼を伝えたりする文言がつづられている。
書簡のうちの1点は、真珠湾攻撃の約1カ月後となる1942年1月に書かれたとみられる。「緒戦(真珠湾攻撃)では、主に敵国(米国)の油断と過失によって小さな勝利を得ました」「本格的な戦いはもちろん今後となります」と意訳できる記述があり、山本が冷静に戦況を見ていたと推測できる。
このほか、特攻隊員として出征し、沖縄方面で戦死した喜多方市出身の陸軍少尉穴沢利夫にまつわる手紙や軍服をはじめ、戦時中のポスター、会津若松市にあった陸軍駐屯地の関係資料などが並んでいる。
観覧時間は午前9時半~午後5時。観覧料は一般・大学生1200円(20人以上の団体1000円)、高校生以下無料。問い合わせは同館(電話0242・28・6000)へ。