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【12】創造する力武器になる LITTLE STAR代表・狩野菜穂

2025/12/06 08:30

トモダチプロジェクトの子どもたちに囲まれる私(後列左から4人目)。楽しさや喜び、自分を外に出すことを体感し、その先の自分の道に進んでいってほしい

 夢は浜通りが日本一のエンターテインメント王国になること。子どもたちが世界中、どこででも戦える土壌をつくっていきたい。

 やることはみんな一緒。まず、腹筋と背筋を意識して真っすぐ立ち、足の親指に重心をかけ、おなかから声を出す。そして、感謝の気持ちを胸に、全力を出すこと。お客さんに対して、自分から何かを注ぎ出そうと努力する。結局は人間力なのだ。

 「事務所に入れた」「オーディションに受かった」などは大事なことではない。自分は何ができるのか、求められていることに応えられる技術があるのかを問い続けてほしい。

 自分はこうだとか、変なプライドだとかは全部捨てること。大好きな歌をやりたくて、母に反対されても、友達もいない東京へたった一人で飛び出した。風呂なしのアパートに住み、やってきた仕事に全力で向き合った。努力して、自信をつけ、覚悟を決めた時、初めて道が開ける。

 歌を磨くことに、都会も田舎も関係ない。むしろ、田舎の方が感受性は良く育つ。ものがないことは素晴らしいこと。幼い頃に人形の服を買ってもらえなかったから服を作り、友達の誕生会であげられるものがなかったから歌を自作し、プレゼントした。自分でクリエイトすることは武器になる。

 トモダチプロジェクトでは子どもたちは好きな曲を歌い、振り付けを考える。初めは楽しさだけで歌い、踊っていた子どもたちも「もっとこうすると、お客さんは喜ぶかな」と考え、成長していく。子どもたちには、仙台でも東京でも米ニューヨークでも行って、さまざまなことに挑戦してほしい。怖がらず、どんどん行って、羽ばたいてほしい。ぼろくそにやられて、泣きながら帰ってきてもいい。頭をぽんぽんとなでたら「また行ってこーい」と背中を押してあげるから。

 南相馬で私は、これからも変わらず毎日、子どもたちとにぎやかにやっている。私は「いつでも帰っておいで」という場所をずっと守り続けていく。=おわり

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