福島市の船山亜紀子さん(46)は、飼い主の高齢化などで飼育が難しくなった老犬の介護施設「ペットケアサービス『みんとの杜(もり)』」を同市下野寺にオープンさせた。9月まで勤めた保健所に飼えなくなった老犬が持ち込まれ、なかなか引き取り手が見つからない現実を目の当たりにしてきた経験から「自分にできることを考えるようになった」と船山さん。「それぞれ違う環境で育ってきた子たちにとって、もう一つの家と感じてもらえる場所になれば」と願う。
思いの原点は、今年5歳を迎えた愛犬みんとの存在だ。母文枝さんを亡くし、気持ちが落ち込んでいた時、夫文彦さん(42)の勧めで飼い始めたみんとが日々の支えになった。「みんとのために何かできることを」と、愛玩動物飼養管理士の資格も取得、保健所で働き始めた。
5年間の保健所勤務では、飼い主の高齢化などを理由に老犬が持ち込まれる光景を多く見た。「若い犬はすぐ引き取り先が見つかるけれど、老犬は見つからない」。保健所だけでは対応が難しい現実を身をもって感じたという。
そんな思いから、文彦さんと共に施設の開店準備に乗り出した。自宅を改装し、文彦さんがドッグランの柵や宿泊スペースを手作り。老犬の介護やホームステイ、ペットホテル、ドッグランなどのサービスを提供する施設を今月10日に開店させた。土、日曜日、祝日には愛犬と過ごせるカフェも開いている。
施設名は愛犬への思いを込めて名付けた。「犬と飼い主、双方に寄り添う温かな場所を目指したい」。夫妻は声をそろえる。
営業時間は午前9時半~午後6時半で、予約制。問い合わせは船山さん(090・8613・3803)へ。
