福島県鮫川村が旧修明高鮫川校跡地に整備を計画していた義務教育学校と生涯学習などの複合施設について、跡地の利活用を断念し、建設予定地を見直す方針であることが26日、分かった。土砂災害対策として約3億~4億円の造成費が追加でかかる見込みのため。村と村教委は2029年度の開校と複合施設の利用開始を目指し、10月末までに複数の候補地の中から新しい建設予定地を決めたい考えだ。
村と県、県教委は昨年11月、跡地の利活用に関する協定を結んだ。県側で旧校舎を解体し、村に土地を返還することが決まった。村教委によると、県が今月上旬、跡地で土砂災害警戒区域の基礎調査に入る方針を村側に説明。新しい施設を造る場合、土砂災害対策として造成が必要となり、総事業費が当初の約32億円から膨らむ見通しとなった。
跡地には義務教育学校を核とし、住民が利用できる図書館、こどもセンターを集約した複合施設も整備する計画で、基本設計まで完了していた。村と村教委は基本設計を生かして本年度中に実施設計を行い、27年度の着工を見込む。
県立高校改革で閉校になった学校施設を巡り、県が土地と建物の無償譲渡や解体費用の負担などを盛り込んだ支援策パッケージを創設後、協定を結んだのは初めてだった。村は県、県教委と協定内容の見直しを協議し、跡地の有効活用につなげる方針。宗田雅之村長は「子どもたちの安全と長期的な財政の持続可能性を第一に考えた結果で、やむを得ない判断。一日も早い開校を目指す方針は変わらず、村民に安心してもらえる教育環境の整備を進めていきたい」とコメントした。
県側は旧校舎を解体して更地にし、村に渡す当初の計画を進める方針。県教委は「村の意向を丁寧に聞き取って詳細な内容を確認した上で、今後の対応を協議したい」(県立高校改革室)としている。