県内消防団の最高の栄誉とされる「民友旗」の本年度受賞団体が3日、湯川村消防団(佐藤浩之団長)に決まった。同消防団の受賞は初めて。村民の防火意識醸成を図る啓発活動に積極的に取り組み、過去5年間の村内での火災発生件数を年4件以下に抑えた。教育訓練にも力を入れ、団員の人材育成を重視する姿勢も評価された。6月8日に福島市のパルセいいざかで開かれる第78回県消防大会で表彰される。
湯川村消防団は1957年の笈川村と勝常村の合併に伴い発足した。現在は2分団に172人が在籍している。班ごとに行う夜間巡回や住宅用火災警報器の設置調査の実施、防火チラシの配布など住民の防火意識高揚を図る取り組みを継続的に行っている。毎月第1日曜日を「機械器具点検の日」に位置付けるほか、日頃から消火栓や防火水槽を確認し、火災発生時の迅速な消火活動への備えも万全にしている。2020年以降の村内での火災発生件数は12件にとどまり、火災による死者は記録に残っていない。
人材育成にも積極的で、4月の新入団員訓練では幹部が直接指導する。副団長以上も県消防学校での教育訓練を通じて資質向上を図っている。団員が活動しやすい環境づくりも進めており、昨年度からは参加報酬を引き上げ、団員の士気高揚ややりがいづくりにも取り組んでいる。
14年に住宅密集地で発生した火災では、広域消防隊と連携した消火作業で延焼を阻止。22年8月の水害の際には床下浸水のあった住宅で夜間の排水作業を行うなど、昼夜を問わず住民の安全を守っている。1987年に知事表彰旗、2008年に消防庁長官表彰旗を受賞している。
福島民友新聞社は1956年から、地域の安全を守る優良消防団を顕彰し、県民の防火意識の高揚を図るため民友旗を贈っている。
防災の意識 家庭へ広げる・湯川村消防団・佐藤浩之団長
団員の活動の積み重ねがあり受賞できた。名誉なことで団員の意識のさらなる高揚につながる。予防消防活動や住民の防災意識向上に力を入れており、子どもたちにも防火の大切さを伝えて各家庭に広がるようにしている。団員不足などの課題を解決できるよう、団員一丸となってさまざまな活動に取り組みたい。