「となりのトトロ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」など数々のヒット作品を生み出している「スタジオジブリ」。その足跡を金曜ロードショーとともに振り返る巡回展「金曜ロードショーとジブリ展」が来年7月19日、福島市の県立美術館で開幕する。本県での開催を前に、秋田県横手市の県立近代美術館で開催中の巡回展を訪れ、一足早くジブリの世界に浸ってきた。(柏倉南)
なじみのある音楽、徐々に
美術館に入ると、徐々になじみのある音楽が聞こえてくる。鈴木敏夫プロデューサーのインタビュー映像を見た後に足を踏み入れた展示フロアでは、1984年公開の「風の谷のナウシカ」から順に、ジブリ作品の絵コンテの一部などが飾られている。絵コンテとは映画の設計図で、普段は見ることはできない。キャラクターの表情やせりふの意図など宮﨑駿監督らの指示が細かく書かれており、この展示だけでもここに来たかいがある。作品公開当時の流行語やヒットドラマなども紹介され、ほかの来場者からは思い出話も聞こえていた。
夢のようなフォトスポット
展覧会で記者が最も気になっていたのが「ジブリ映画ポスタースタジオ」。「もののけ姫」「猫の恩返し」などの映画ポスターをリアルに再現し、主人公になりきって撮影できる夢のようなエリアだ。より忠実な写真が撮れるようポーズのポイントも紹介されている。
仕事を忘れ、うきうきで「魔女の宅急便」の「キキ」になりきった。スタッフが撮影してくれるので、1人でも記念撮影ができるのがありがたい。「魔女の宅急便」のコーナーでは、パンから香りがしてきて驚かされた。
「魔女の宅急便」のフォトスポットを楽しんでいた秋田県男鹿市から訪れた家族。好きな作品は「千と千尋の神隠し」だという父親は「家族でそろって撮影できるのでいい思い出になる。もう1回来たい」と話していた。会場内では「千と千尋の神隠し」と「崖の上のポニョ」の撮影もできた。
個性的な生き物も見どころ
ジブリ作品といえば、個性的な生き物も見どころだ。展覧会には「風の谷のナウシカ」から「王蟲(オーム)」が現れた。王蟲は蟲(むし)や菌類など同作の「腐海(ふかい)」の世界観が表現された空間にたたずんでいる。14個の目が赤くなったり青くなったりして、今にも動きそうで、映画で見たままの姿。この迫力もぜひ会場で味わってほしい。
目玉の一つの「ジブリの幻燈楼(げんとうろう)」は、音楽に合わせて壁一面にジブリのキャラクターなどが投影される幻想的な空間で、きらきらと動くキャラクターたちの様子は何時間でも見ていられそうだった。
十分楽しんだところで、忘れてはならないのはお土産。公式図録や缶バッジ、文房具などが並ぶ中に、「イモリの黒焼きチョコ」なる商品を発見。イモリといえば…。皆さんはどの作品に登場したか分かるだろうか? 答えは会場で。
会場では金曜ロードショーの2代目オープニング映像に登場していた「フライデーおじさん」が描かれた看板が出迎えてくれたのもうれしく、懐かしい気持ちにさせられた。
「金曜ロードショーとジブリ展」のキャッチフレーズは「いっしょにみよう」。ジブリファンも、そうでない人も会場へ足を運んでほしい。きっと、あなただけの新しいジブリ体験が待っているはずだ。
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福島会場の会期は来年7月19日~9月28日。入場料などの詳細は決まり次第、公式ホームページで発表します。