ストックオプション(自社株購入権)による利益を申告していない疑いがある納税者の情報が国税庁と税務署の間で十分に共有されず、適切な課税につながっていない恐れがあることが20日、会計検査院の調査で分かった。検査院は、2021、22年に少なくとも計約41億5千万円の利益に対し課税漏れがあった可能性が高いとしている。
国税庁は指摘を受け、情報の活用法など改善策を税務署に周知。担当者は「真摯に対応し、公平な課税の実現に努めていく」と話している。
ストックオプションは、会社が従業員らに、事前に決めた金額で自社株を取得できる権利を与える制度。権利を行使して自社株を取得した時と、その株を譲渡した時の2度課税される「税制非適格」と、一定の要件を満たせば譲渡時のみ課税されるなどの利点がある「税制適格」がある。検査院は今回、権利の譲渡に制限があり、無償で付与されたストックオプションについて調べた。
検査院によると、国税庁は、証券会社から「税制適格」の対象株の譲渡に関する情報を得た上で、無申告の疑いがある納税者のリストを作成している。