名古屋刑務所(愛知県みよし市)で2022年に男性受刑者=当時(71)=が亡くなったのは、刑務所側が適切な医療を受けさせなかったためだとして、遺族が国に約4千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は20日、看守らが受刑者に暴言を吐くなどの違法な対応があったと認め、国に約30万円の賠償を命じた。一方、医療措置については適切に行われたと判断した。
知野明裁判長は、看守らが受刑者に対し「ばかたれ」などと暴言を吐いたり、作業時間を記録する日課表に指印を勝手に押したりしたとして、「正当化される余地はない」と指摘。違法との評価を免れないとした。
一方、受刑者には症状に応じた検査などを実施しており、直ちに心筋梗塞を疑う症状もなかったとして、死亡との因果関係は否定した。
名古屋刑務所は昨年11月、暴言などを理由に、看守ら7人を戒告や訓告などとしたと発表している。
判決によると、受刑者は暴行罪で実刑となり収容されていた22年2月、呼吸の苦しさや胸の痛みを訴え、翌月に多臓器不全で亡くなった。