国の障害年金を申請して不支給とされた人が2024年度に増えた問題で、厚生労働省は11日、調査報告書を発表し、現在の判定の仕組みを是正する方針を明らかにした。より客観的で公平な判定にする必要があると判断した。24年度の不支給割合が23年度に比べ約1・5倍に増えたとのサンプル調査結果も発表。精神障害などで24年度以降に不支給とした事案は原則、全て点検し、必要に応じて支給する。
実務を担う日本年金機構の障害年金センター職員は、取材に対し「23年10月に就任したセンター長が厳しい方針のため、不支給が増えた」と証言していた。厚労省は「そのようなセンター長の指示は確認できなかった」としている。
年金機構の公表統計では23年度の不支給割合は8・4%。厚労省が24年度の判定件数全体から千件を抽出したサンプル調査では、約1・5倍の13・0%に増えた。精神・発達・知的障害では約1・9倍。書類不備などによる「却下」は含んでおらず、不支給割合は最終的にはさらに高くなる見込み。
年金機構が不支給事案約1200件の判定をやり直した結果、1割が支給に変更されたことも発表した。
共同通信は4月下旬、年金機構の内部の集計表を入手し、24年度の不支給が約2倍に増えたと報道。ただ、障害年金では1人が同時に2件申請することがあり、その場合のカウント方法が内部の集計表と公表統計では異なることが判明。今回のサンプル調査は統計と同じ計上方法のため、不支給割合の増え幅が小さくなった。