任期満了に伴い11月9日告示、同16日投開票で行われる福島市長選の告示まで2カ月を切った。立候補の意思を示していた前衆院議員の新人馬場雄基氏(32)は9日、同市で記者会見し、無所属での立候補を正式に表明。既に出馬を表明している現職の木幡浩氏(64)=2期=は同日、市議会9月定例会一般質問に臨み、改めて3選出馬への決意を語った。会社役員の新人高橋翔氏(37)も立候補を予定しており、県都のリーダーを決める選挙に向けた前哨戦が本格化してきた。
退路断ち決意表明
「全てをなげうってでも、希望あふれる福島市を市民と共につくっていきたい」。馬場氏は、まちづくりにいそしんだかつての職場「アオウゼ」で会見に臨んだ。2期目途中で衆院議員を辞し立憲民主党を離党、退路を断って迎えた決意表明の場。「挑戦者」ののぼり旗を携え「裸一貫での挑戦」と覚悟を示した。
生産年齢人口をはじめとする急速な人口減に「4年後では間に合わない」と危機感をあらわにし、市政運営の方向性として「市民目線の改革」「県都福島の力の最大化」「官民学連携による駅前再開発の早期完成」―の3点を提示。現役世代が前向きに挑戦できる都市づくりや県、周辺自治体と連携したスムーズな行政政策の必要性を訴えた。
仕込んだ芽育てる
告示まで2カ月となったこの日を議場で迎えた木幡氏。自民系最大会派・真政会の議員から3選出馬への考えを問われ「財政状況は厳しく市政のかじ取りはますます難しくなっている。だからこそ、自分が何としてもやり遂げたい」と決意を語った。
木幡氏は4年前の前回市長選より約1カ月早い7月26日に立候補を表明。着実に支持固めを進めるさなか、決戦まで2カ月に迫るタイミングでの新たな対立候補の出現に、表情を一層引き締め「この8年で市政は大きく前進したが、道半ば」と強調。JR福島駅東西一体のまちづくりなど「これまで仕込んできた多数の芽を育てながら、若い世代にも魅力的な元気な福島をつくる」と訴えた。
絡み合う支持基盤
市長選の構図が固まりつつある中、足元では両氏の支持基盤が複雑に絡み合う。8年前の前々回、現職や元自民県議ら4人の選挙戦を制し初当選した木幡氏は4年前、自民、立民、公明、連合福島、福島地区社民フォーラムなどの推薦を受けて再選を果たした。ただ今回は、JR福島駅前再開発事業をはじめとする木幡氏の政策を巡り、水面下で経済界や保守系議員の一部から対立候補の擁立を目指す動きがあった。馬場氏は会見で「完全無所属」を明言したが、前回木幡氏を支持した団体の一部は馬場氏支援に回るもようで、各党、各団体の今後の動向が注目される。
8月1日に出馬を表明した高橋氏は、企業誘致や子育て支援などの重点政策を掲げ、動画投稿サイト「ユーチューブ」などでの発信を続けている。