子どもがつかまり立ちをして少しずつ歩き始めると、子ども用の靴が必要になってきます。小さな足が適切に成長していくために、どんな靴を選ぶといいのでしょうか。福島市の靴店「ヴェアクシュタット オオゼキ」店長で、足と靴と健康協議会(FHA)幼児子ども専門シューフィッターの資格を持つ大関悠人さん(40)に聞きました。
適切なサイズ選ぶのが大切
大関さんによると、6歳ぐらいまでの子どもの足は、骨が小さくて骨と骨の間の隙間が多く、靴が小さくても足が入ってしまうそうです。骨の成長に悪影響となることもあるため、適切なサイズを選ぶことが大切です。靴に書いてあるサイズが同じでも、靴の種類やメーカーの違いなどで大きさが異なるため、足に合ったサイズかどうかを試して購入しましょう。
3歳ぐらいまでは体の成長が早く、3~5カ月ほどで靴のサイズが合わなくなるそうです。
歩き始めにはミドルカット
小さい子どもは関節が柔らかく、歩くときに不安定になります。ファーストシューズやベビーシューズは足首を覆うミドルカットの靴が向いています。
かかとが固定できるものを
歩くときにかかとの骨がぶれないよう、かかと部分が柔らかくない靴を選びましょう。かかとがしっかり固定されない靴を履いていると、足のアーチがうまくつくられない可能性があるそうです。「アーチは8歳ぐらいまでにつくられます」と大関さん。うまくつくられないと扁平足になる恐れがあり、運動能力に影響する可能性もあるといいます。中高年ぐらいになってから、歩きにくさや関節の痛みが出る場合もあります。
ベルト2本で足安定させる
足が靴の中で動かないよう、しっかり留められるベルトが2本ある靴がお薦め。靴の中で足が前に動くと爪や指のトラブルにつながる可能性があります。
中敷き外せるタイプが便利
足の裏には汗が出る汗腺が多く、靴の中では汗をたくさんかいています。子どもはたくさん汗をかくので、靴の素材は通気性が良く、中敷きを外せるものの方が、靴を清潔に保てます。中敷きが外せると、サイズ確認もしやすくなります。
つま先の形は扇形がお薦め
かかとに比べてつま先が広がっている扇形のものがお薦め。つま先が広いと、靴の中で指が圧迫されずに歩けます。
つま先にゆとりがあるもの
靴を選ぶときは、かかとに合わせて立ち、つま先にゆとりがあるか確認します。必要なゆとりは年齢が上がると大きくなります。ファーストシューズは6~7ミリが目安。歩く歩数が多くなると、足が指の付け根から曲がるようになり、靴も大きく反るため、つま先のゆとりが1センチほど必要になります。
健康への重要アイテム
「子ども靴は、子どもが健康に成長していく上で重要なアイテムです」
そう話す大関さんは、ドイツで整形靴技術者の資格を取得した靴の専門家です。
整形靴とは、先天性の足の変形や障害、けがや事故、足のトラブルなどに対応する靴のこと。店では来店者に合う靴の提案や、靴の補正、インソール作製などを行っていて、「成長の手助けになる靴を紹介したい」と、子ども靴も取り扱っています。
「子どもの靴をチェックすることが習慣化していないと面倒に感じるかもしれませんが、細かいことの積み重ねが子どもの健康な生活につながっていきます」と大関さん。「親御さんにとっても、自分が高齢になったときの靴選びに生きてくるはず。暮らしの中に積極的に靴について考えることを取り入れてみてください」と呼びかけています。