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文才あった故・北の富士さん 相撲の名解説、死去1年

2025/11/12 17:06

 横綱審議委員会の稽古総見に出席し、取材に応じる北の富士勝昭さん。粋な着物姿と硬軟織り交ぜたコメントで長く角界のご意見番として愛された=2018年8月、東京・両国国技館の相撲教習所

 大相撲中継の名解説者として人気を誇った北の富士勝昭さん=元横綱、本名竹沢勝昭、北海道出身=が82歳で死去してから、12日で1年。上手投げと外掛けを得意とした取り口は鮮やかで、歌やゴルフもうまかった。文才もあり、かつて共同通信に寄せた原稿からは多芸ぶりがうかがえる。

 関係者によると、1980年代後半と思われる原稿は「釣りと私」がテーマ。「私は北海道の留萌で育った。」で始まる文章は原稿用紙11枚にわたる。

 漁の手伝いをした小学生時代に触れ「私の仕事は、小さな磯舟をこいで沖の船から港までニシンを運ぶことだった。いま考えてみると、このときに舟をこいで足腰を鍛えたことが、相撲社会に入って大いに役立ったように思える。」と回想。サバやサヨリなどを釣った思い出も記した。

 九州場所の季節には玄界灘へ横綱千代の富士と釣りに出かけた逸話を披露。「彼は釣りでも集中力が抜群でタイやヒラメの大物を釣りあげる。」とたたえ「最近の私はもっぱら横綱の釣った魚をすぐに料理し、冷えたビールをやる役にまわっているのである。」と結んでいる。

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